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数字の前に、物語がある ― ゴールデンサークル理論で考える信頼と成果の関係

ビジネスの現場では、売上やフォロワー数といった「数字」が最もわかりやすい成果として扱われます。
数字は嘘をつかない。目に見えて、評価されやすく、シンプルです。
しかし、その数字だけを追いかけていると、ある日突然気づく瞬間があります。

「なぜか成果が伸びない」
「一時的に数字は増えても、すぐに消えてしまう」
「顧客との関係が長続きしない」

それは、数字の前提となる「物語=Why」が抜け落ちているからです。

目次

ゴールデンサークル理論とは?

サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル理論」は、人を動かすための思考の枠組みです。
彼はこう言います。

「人は、あなたが何をしているかではなく、なぜそれをしているかに共感して動く」

この理論は三つの円で表されます。

  1. Why(なぜ)
    自分たちが存在する理由。理念や信念。
  2. How(どのように)
    その理念を実現するための方法。独自性。
  3. What(何を)
    具体的な商品やサービス。

多くの企業は「私たちはこんな商品を売っています(What)」から説明を始めます。
しかし、本当に人を動かすのは「なぜ、それをやるのか(Why)」から始めるアプローチです。

アップルが示した「Why」の力

アップルの事例は有名です。
彼らは「私たちは常識を疑い、世界を変えたい」というWhyを掲げています。
そのための方法が「シンプルで美しいデザイン」「直感的な操作性(How)」であり、その成果が「iPhoneやMac(What)」です。

この順番が人の心を動かします。
なぜなら、人は論理ではなく「感情」で動くからです。
Whyは人間の脳の「大脳辺縁系」に直接働きかけ、共感を生みます。
その共感が信頼となり、結果として数字に表れるのです。

数字を追う危うさ

逆に「数字=What」から入るとどうなるでしょうか。

「安いです」「性能がいいです」「他より早いです」

こうしたアピールは、比較の世界に引きずり込まれます。
競合がさらに安くしたら?さらに性能を上げたら?
簡単に顧客の心は離れてしまいます。

数字は成果の「結果」であって『原因』ではありません。
原因は「Why」――つまり物語にあるのです。

「数字の前に、物語がある」

事業が成長する過程をもう一度整理すると、こうなります。

  1. 心(Why)
    なぜそれをやるのか。どんな信念や想いがあるのか。
  2. ことば(How)
    その想いをどんな表現や仕組みで届けるのか。
  3. 仕組み(What)
    商品やサービスという形にして世に出す。

この流れが整ったとき、初めて「数字」はついてきます。
逆に言えば、心なきことばは届かず、仕組みなき情熱は広がりません。

あなた自身の「Why」を探す

では、どうやって「Why=物語」を見つければいいのでしょうか。
ポイントは、自分の過去の経験や感情にあります。

  • 何に怒りを覚えたのか
  • 何に感動して涙したのか
  • 何を「このままではいけない」と強く思ったのか

それこそが、あなたの事業の物語の種になります。
それを掘り下げ、ことばにすることで、人に共感される「Why」が生まれます。

信頼が積み上がるとき

信頼は一夜にして築けません。

けれども「Why」を発信し続けることで、人はあなたを「数字」ではなく『物語』で選ぶようになります。

「この人だから買いたい」
「この会社だから続けて付き合いたい」

数字はその後ろから、自然と追いかけてくる。

まとめ ― 数字は物語の証明にすぎない

ゴールデンサークル理論が教えてくれるのは、成果とは「数字」そのものではなく、「物語が人を動かした証明」であるということです。

だからこそ、数字を追う前に、自分自身の「なぜ」を掘り下げること。
それをことばにして仕組みに乗せること。
その循環が回り始めたとき、あなたの事業はただの商売を超え、物語を語るブランドへと成長していきます。

数字の前に、物語がある。

これは一時的なスローガンではなく、長く続くビジネスの真理です。

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